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特にテーマを決めずに、気ままにコラムを書いています。誤字や間違いもあるかと思いますのでお気軽にご意見ください。
【NO.8】 経営分析を学ぶ
経営分析について、コラムにまとめてみました。全10回。
第1回 はじめに(2004.5.23)
前回のコラムで、決算書について学んだが
その知識をどのように活用してゆくかを
今回のコラムでは、学びたいと思う。
損益計算書や賃借対照表、キャッシュフロー計算書から
どのような分析をするのかを考えてみたい。
企業の経営分析をするときのポイントは
収益性と安全性である。
収益性は、利益の大きさで判断する事が可能である。
損益計算書から読み取れる利益には、5種類の利益がある。
まずは、下記の利益の種類を把握したい。
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売上高
売上原価
@売上総利益
販売費及び一般管理費
A営業利益
営業外収益
営業外費用
B経常利益
特別利益
特別損出
C税引前当期純利益
法人税等
D当期純利益
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
第2回 資本利益率とは(2004.5.30)
利益を分析する際に、投資に対して
どれだけの利益を上げているかが大切である。
投資からの利益率を分析する数字が
資本利益率である。
資本利益率は、売上高利益率と資本回転率に
分けることが出来る。
資本利益率 = 売上高利益率 × 資本回転率
利 益 | 利 益 | 売 上 高 | ||
--------- | = | ---------- | × | ----------- |
資 本 | 売 上 高 | 資 本 |
経営分析でよく使われる、資本と利益の組み合わせは
以下のとおりである。
総資本‐経常利益
経営資本‐営業利益
自己資本‐当期純利益
第3回 自己資本利益率(ROE)について(2004.6.6)
経営分析を進める上で、経常利益は最も重要な利益だと
されています。
業界の平均値や他社の数字との比較に最適な数字です。
企業にとって、増益・増収とは、経常利益か当期純利益を
示す事がほとんどです。
当期純利益は、株主重視の方向性の数字です。
当期純利益利益を使った分析として自己資本利益率があります。
当期純利益 | ||
自己資本利益率(ROE) | = | ------------------------- |
自己資本 |
ROEの平均値は、3〜4%程度です。
自己資本利益率を高めるためには、当期純利益を多くするか
自己資本を小さくする方法があります。
ROEは、株主資本の効率を示すこともあきらかですが
会社としては、自己資本が大きい方が安定した経営が可能です。
自己資本利益率が高くても、自己資本比率が低ければ
企業の評価は低くなります。
第4回 比率の評価方法(2004.6.13)
分析比率の評価は、経営比較によって行います。
その方法には、3つあります。
1.他社比較:同業企業との比較
2.標準比較:業界平均値との比較
3.期間比較:自社の過去数値との比較
業界平均値をしらべる為に役立つサイトを紹介します。
中小企業の経営指標
http://www.chusho.meti.go.jp/chousa/keiei_sihyou/h15/sihyou_15.pdf
TKCの経営指標
http://www.tkcnf.or.jp/04bast/index.html
EDINET(企業決算情報)
http://info.edinet.go.jp/
もっとも大切なのは計画との比較です。
分析比率については目標値を持つ事が大切であり
目標を達成するために何をすべきかが明確になります。
第5回 営業経費の分析(2004.6.19)
売上総利益から、営業経費(販売費及び一般管理費)を
引いたものが、営業利益である。
営業経費が利益に大きく影響するものであるが
営業経費の中身について考えてみる。
営業経費の中で、一番大きな割合を占めるものは
人件費である。
営業経費には、下記のような経費がある。
給料、賞与、法定福利費、福利厚生費、広告費、交通費
水道光熱費、通信費、租税公課、保険費、減価償却費
修繕費、諸会費、交際費、会議費、雑費等。
これらの数字は、過去の実績との比較が大切である。
上昇している数字は、要注意である。
第6回 受取勘定回転率について(2004.6.27)
収益性以外の経営比率を検討する場合に、
総資本回転率が悪かった時には
各種の回転率を検討する必要がある。
今回は、売上代金の回収の早さについて検証する
比率について考えます。
売上代金のうち、期末に未回収のものを売掛金といい
手形で現金化されていないものを受取手形と言います。
その2つを合わせて受取勘定とよびます。
受取勘定の回収が遅れると売上債権の金額が多くなります。
この代金回収のスピードを分析するのが
受取勘定回転率(売上債権回転率)です。
売上高 | ||
受取勘定回転率 | = | -------------------- |
受取手形+売掛金 |
受取勘定回転率が低い場合には、下記のように
回収率を向上させる必要があります。
1.個別に売上債権をチェックし、遅れている代金を回収する。
2.売上代金について支払い条件を見直す
3.販売員に代金の回収責任を徹底する
4.売上債権の売却などの手段を考える
5.手形の裏書譲渡による支払いを行う
第7回 流動比率について(2004.7.4)
賃借対照表の5つの要素は、5つの要素に分かれます。
流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、自己資本です。
この流動資産と流動布石の比率が流動比率です。
流動資産とは、1年以内に現金化する資産の事で、
流動負債とは、1年以内に支払い予定の負債です。
流動資産 | ||
流動比率 | = | ------------ |
流動負債 |
この比率は、高いほうが良く、理想は200%ですが
一般的には、120%〜140%です。
この比率が、100%未満になった時は問題です。
しかし100%以下でも業界によっては問題ない場合も
あります。
電力会社やガス会社、小売業などは小さい数字になります。
第8回 EVAでの企業評価(2004.7.11)
資本利益率は、経営指標の最重要指標であるが
この資本利益率向上のために、利益を増加させるよりも
分母の資本を減少させる傾向があります。
そこで、EVA(Economic Value Added=経済付加価値)の
企業評価の方法が考えられるようになりました。
EVA=税引後営業利益‐資本コスト
で求める事ができます。
EVAの特徴は、自己資本のコストを差し引いたところでの
企業価値がどのくらいあるかを算定する事にあります。
株主の期待値をコストと考え、それを上回れば
評価される考え方です。
第9回 PERとPBRとは(2004.7.19)
PERとPBRは株価と利益の関係を分析する数値です。
PERは、株価収益率と訳され、株価を1株辺りの利益で
除した数字です。
PERが高いという事は、利益の割りに高い株価水準で
株が売買されている事になります。
PER(Price Earning Raito)=株価収益率
流動資産 | ||
PER | = | ------------------------------- |
流動負債 |
一方、PBRとは、1株あたりの純資産の事です。
純資産とは資産から負債を引いた自己資本のことを意味します。
PBRが低い会社は純資産が多い割りに株価が低い事を
意味しています。
PBR(Price Book Value Raito)=株価純資産倍率
流動資産 | ||
PBR | = | ------------------------------- |
流動負債 |
PERの平均は20倍程度
PBRの平均は1.5倍程度
が目安の数字になります。
第10回 労働生産性について(2004.7.25)
労働生産性を向上する事で会社の経営は向上する。
生産性の向上は、販売効率を高めてゆくか
付加価値を高める事で向上する。
付加価値 | 売 上 高 | 付加価値 | ||
------------ | = | ------------ | × | ----------- |
従業員数 | 従業員数 | 売 上 高 | ||
(労働生産性) | (販売効率) | (付加価値率) |
販売効率を高めるためには
設備を導入して販売効率を高める事が可能です。
一人あたりの有形固形資産を高め、その設備が有効活用
されれば販売効率が高まります。
売 上 高 | 有形固形資産 | 売 上 高 | ||
------------ | = | ------------ | × | ----------- |
従業員数 | 従業員数 | 有形固形資産 | ||
(販売効率) | (労働装備率) | (有形固定資産回転率) |
労働分配率を低減したときには、人件費を抑える事が
良いのですが、賃金水準が高くても
それ以上に労働生産性が高ければ労働分配率は
低く抑えられます。
人 件 費 | 人 件 費 | 付加価値 | ||
------------ | = | ------------ | ÷ | ----------- |
付加価値 | 従業員数 | 従業員数 | ||
(労働分配率) | (賃金水準) | (労働生産性) |