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特にテーマを決めずに、気ままにコラムを書いています。誤字や間違いもあるかと思いますのでお気軽にご意見ください。

【NO.31】ミスの原因と防止策

ビジネスでは付き物で、多くの人が改善したいミスの原因と防止策について、コラムにまとめてみま

第1回 ミスの主な原因(2009.02.01)

今回のコラムでは、ミスの主な原因を研究すると共に
その防止策について考えてみたいと思います。

まず始めに、人為的なミスが発生する要因について主な理由をあげてみます。

技量不足
作業が難しすぎた

記憶力不足
覚えることが多すぎた

慢心
慣れた作業で慢心し、手を抜いた。

不注意
作業の緊張が足りず、見逃した。

緊張過剰
締め切りに迫われ、短絡的な行動をした。

自己誇示欲
格好つけようとして、わざと危ない行為をした。

機械の問題
機械の操作が紛らわしい。

これらの理由からミスが発生するのは確かですが
人間の間違いは上記の理由だけでは説明がつかない場合があります。

人間のミスは、明確に説明出来ない場合もあり
普通に考えればありえないような原因でミスが発生する場合があります。

参考文献:ヒューマンエラーを防ぐ知恵 (DOJIN選書)

第2回 ミスが発生するとき(2009.02.08)

ミスを引き起こす原因には、人の内にも外にもあります。

第1回とかぶる部分もあるが確認してみたい。

・目標の設定が曖昧だったり、不明確なとき
・自分の能力以上のことをしてしまったとき
・知識が不足していたとき
・知識はあったが、使いこなせなかったとき
・知識の使い方を間違っていた時
・注意をコントロールできなかったとき
・習慣化してしまったとき
・まわりがエラーを誘発するとき
・悪い偶然が次々と重なったとき

特に気をつけておきたいのが、やる仕事がはじめての場合や
慣れていない場合です。

不慣れな仕事の場合、「自分の能力」と「その仕事が要求するレベル」との
ずれに気がつけない場合があります。

結局納期に追われて、内容の理解も不十分なまま
不完全な仕事をしてしまい、ミスを誘発することがある。

何でも自分ひとりで抱え込む人は、このパターンに陥りやすい。

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

第3回 ミスを分類してみる(2009.02.15)

私たちが行動するときに、自分自身の行動を計画し、実行し、評価している。

さらに私たちが仕事する際には、上記のサイクルの上に使命や外部目標が加わる。

この枠組みのなかで、ミスを分析してみると4つのミスが浮かび上がる。

使命(行為の意義、大枠)の段階では、「使命の取り違えエラー」がある。
本来の目的ではないことをしてしまう
目標設定や守るべきルールが守られていない。
納期を優先することが、安全性を確保することよりも優先されて事故を起こす場合など。

計画においては「思い込みエラー」がある。
勝手な思い込みによりミスを起こす。
自分なりの解釈をしてしまうことでエラーが発生する。
いったん思い込んでしまうと、それが間違っていることに気がつくのが難しくなる。

実行においては「うっかりミス」がある。
やるべきことを正しい手順でしない、余計なことをしてしまいミスを起こす。
やるべきことを忘れてしまう。(省略エラー)
やらなくても良いことをしてしまう。(実行エラー)
やるべきところまでやらない。(達成度不十分)
うっかりミスは、注意のコントロール不全です。

評価においては「確認ミス」がある。
やるべきこと、やったことをしっかり確認していない場合。
複数人数でチェックする際などに、よりエラーが発生しやすい傾向がある。
「自分に見落としがあっても大丈夫だろう・・。」という心理。

これらの4つのミスの中で、自分自身がどのミスをしやすいのか把握しておくことが大切です。

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

第4回 ミスの対策(2009.02.21)

今回は、ミスを防ぐためには、どうしたらよいかを考えてみたい。

ミスは、ミスを起こさせない環境整備、状況作りが大切です。
同時に、自分自身の力でミスを防ぐ工夫に取り組むことも出来ます。

ミスを防ぐ方法として、自分を自分で知り、自分自身をコントロールする力
つまりメタ認知力を理解する必要がある。

また認知とは、自分の頭の中にもう一人の自分(ホムンクルス)がいて
自分をコントロールしたり監視したりしている感覚です。
「できることの予測」と「実際にできたこと」とが一致することです。

人間には、己を知り、コントロールできるメタ認知力が備わっています。

その能力が、ミスを防ぐのにどのように有効なのかを考えてみたい。

1.ミスするかどうかを、あらかじめ予測できる。
自分の頭の働きの限界を十分に知っていて、これを超えればミスをするだろうと
あらかじめ予測できる。

2.ミスに気づくことが出来る。
自分がミスをしやすい人間か、それともミスをしにくい人間かを把握することで
自分にあったミス防止策を考えて、ミスを自分自身で気づくことが出来る。

3.ミスをしないように自分をコントロールできる。
難しい仕事は、いつもよりも時間をかけて慎重に行ったり
同僚や上司の助けを借りてみることである。
また、上司も部下の助けを借りることで、メタ認知することが出来る。

メタ認知能力によって、ミスはある程度は管理することができるのです。

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

第5回 メタ認知能力の向上方法「自己モニタリング能力」(2009.03.01)

前回は、メタ認知能力について、簡単に説明をしましたが
ミスを防ぐためには、メタ認知能力を向上させることが必要です。

メタ認知能力を構成する2本の柱は、「自己モニタリング能力」
(自分の心を知る能力)と、「自己コントロール力」
(自分の心と行動を制御する能力)です。

「自己モニタリング能力」を高めるための3つの方法を紹介したい。

1.「こころの日記」を書く習慣を持つ
「自己モニタリング能力」を高める上で大切なことは、反省と内省です。
ミスについて日記を書くことで、気持ちの客観化を行い深い自己洞察を行うことが可能になります。

2.ミスの体験を生かす
ミスを体験したときに感じる「なぜ?どうして?」という気持ちを
1日の終わりに振り返ってみて、明日からの活動に生かしてみる工夫を考えてみることです。

3.心理学用語や知識を豊富にする
誰もが自分の心を語る「言葉」をそれなりに持っている。
だいたいの人は今の自分の感情をそれなりに語ることが出来る。
自分の心の動きを適切にしり、さらに語ることことが
出来るようになるためには、科学としての心理学の語彙と知識を増やしていくことです。

次回は、メタ認知能力のもうひとつ
「自己コントロール力」を高めるための方法を考えてみたい。

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

 

第6回 メタ認知能力の向上方法「自己コントロール力」(2009.03.08)

前回の続きから、メタ認知能力のもうひとつ
「自己コントロール力」を高めるための方法を考えてみたい。

○目標の取り違いエラーを防ぐ方法
1.目標を意識して仕事をすること
2.安全第一を心がけること
3.自己顕示欲は抑えること

○思い込みエラーを防ぐ方法
1.知識を豊富にしておくこと
知識を高度化(深める)努力を怠ってはならない。
2.判断を停止する
とりあえず一度判断を停止してみる
3.現場を一時離れる
4.日ごろから周囲とのコミュニケーションを徹底する
5.まわりの人と一緒に考える

○うっかりミスを防ぐ方法
1.あわてない
遅れるほうがミスをするよりもましだと考えてみる。
2.認知的葛藤の状態にしない
3.多重課題にしない
4.割り込み処理は要注意
5.管理用の注意を3割残しておく
6.休憩の自己管理をする

○確認ミスを防ぐ方法
1.確認の大切さを認識する
2.確認行為を意識化する
確認行為の形骸化に注意する。

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

第7回 ミスに強い環境づくり(2009.03.14)

人は、ミスをすることはあるわけで、ミスに強い環境づくりを
心がけることも大切です。

まずは、官僚機構からヒントを探してみたい。
官僚機構には、基本的にミスをしない仕組みが組み込まれており参考になる事例は多い。

1.何度もチェック
決裁まで、非常に時間がかかるのが役所。
役所では、ひとつの書類にたくさん判子が並ぶ。
各担当者が違う観点から書類をチェックしてゆく。

2.仕事を定型化する
仕事の手順を完全に定型的にしている。
よって例外は認められない。融通は利かないがミスは少ない。

3.人の配置換えをする
仕事がマンネリ化するとミスも増えてくる。
常に緊張感を持って仕事の質を向上する。

ミスが発生する要因を振り返ってみたい。

潜在的な事故原因
・無理のある仕事をしている
・ミスを検知する仕組みがない
・作業者への教育が不十分

事故を生む表面的な要因
・疲れているとき
・不慣れな仕事をしているとき
・うっかりしているとき
・良かれと思って作業をしたとき

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

第8回 安全工学からのヒント (2009.03.21)

安全工学では、工業技術として、ミスが事故に繋がらないような
様々な仕掛けを作りこむ工夫をしている。

これらの工夫は、うっかりミスをなくすために非常に参考になります。

1.フール・プルーフ
危ないことはやりにくくする。
作業するときに安全装置をはずさないと作業が出来ないようにする。

2.インターロック
順序通りにやらないと働いてくれない。

3.ロックイン
割り込みは受け付けない。
パソコンのディスクへの書き込み時に、他の作業を受けつけなくなるのはロックインの仕組み。

4.ロックアウト
危ないところには入れないようにする。
立ち入り禁止にする処置などは、ロックアウトの仕組み。

5.多重防護
二重三重の保険をかける。
ひとつミスが起こっても、次の安全策で被害を広げないようにする仕組み。

6.フェイル・セーフ
バックアップを用意する。うっかり忘れてもバックアップできるような仕組み。

7.フェイル・ダウン
不具合が起きたらまず止まる。

8.アフォーダンス
自然に適切な行動となるよう導く

出典

「ミス」をきっぱりなくす本 (成美文庫)

海保博之著

第9回 ヒューマンエラーの防止法(2009.03.29)

ヒューマンエラーの防止法には、以下の3つの考え方がある。

1.作業を行いやすくする。ヒューマンエラーの発生頻度を下げる。
2.人に異常を気づかせる。損害が出る前に事故を回避できるようにする。
3.被害を抑える。小さな事故が大きな事故に発展しないようにする。

これら3つの対策を組み合わせることによってヒューマンエラーの脅威を減らしてゆきます。

作業の行いやすさは、作業の道具や環境を人間の能力や身体にあわせることです。

疲れない、遅れない、無駄がない、間違えない状態になるように心がけることが大切です。

異常を人間に知らせる工夫を施すことはいかに、エラーを検知しやすくする工夫することです。
異常な状態を直感的にわかりやすく表現する必要があります。
適切なタイミングで、どこが異常で、何をすべきかが瞬時に判断できる工夫が必要です。

事故に被害を抑えるためには、最後の被害制御を行う必要があります。
万が一に備えるには、きっかけ演算法と事故原因帰納法があります。

きっかけ演算法とは、ひとつのミスがどこまで大きな事故に
発展しえるか想像をめぐらせることです。

事故原因帰納法とは、その逆で、大きな事故を思い浮かべ
事故が起こるための必要条件を考えることです。

第10回 失敗に強くなる工夫(2009.04.04)

人は失敗をすることで、落ち込んでしまうことがあります。
失敗を自覚しているのであれば、必要以上に落ち込む必要はありません。

失敗うちで一番問題なのは、失敗を何一つ自覚していないことです。

失敗を必要以上に、悪いことだと考えることをやめてミスから学ぶ姿勢が大切です。

ミスから学ぶことで、ミスに対しての適応能力が向上してゆきます。

失敗をすること無くして、ミスをなくす事は難しいことです。
事故をあらかじめ想定して、対策を打つことには限界があります。

何か問題があった時の方が、多くの学びがあります。

また、他の場所で起こった問題から学び
その後のミス対策に生かすことも出来ます。

ミスを生かす姿勢が失敗に強くなる秘訣です。

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